不死鳥の涙 ーリック・シンプソン物語ー 第19章

第十九章   薬か脅威か

 アムステルダムから持ち帰った種のお蔭で、今やチェコ共和国には、治療薬製造の為の素材が格段に多く存在する。私が来る以前は、多くの人が慎ましやかにサティバ種を栽培していた。だが大抵の場合、これは私の製薬には使えなかった。地元カナダでは、インディカ種を見つけるのは極めて容易だったが、欧州においては、この薬を適切に作るための強力な薬用インディカ種は、なかなか手に入らなかった。栽培家達がどんどんと望ましい品種を育て始めたことで、必要な原料を見つける労力は、大いに軽減された。チェコ共和国でイェンツェフとミランは、すぐに多くの人々を良質の薬用インディカ種で治療するようになり、患者の治療への反応も大変良好だった。全体的に見て、彼らは事態を良い方向にかなり進展させたと言う他ないし、私はその結果に非常に満足していた。
 私がハヌス博士と講演ツアーをしてから8ヵ月以上が経過していたが、メリッサ・ベイリンは約束の記録映像を寄越さなかった。私は彼女に連絡して理由を聞いた。彼女はイェンツェフとミランが借りている金を返さないから、それを提供していないとのだと説明した。しかしながら、彼女が言っていることは単なる言い逃れに過ぎない。彼女が同行する計画は直近に知らされたので、イェンツェフが申し出たのは、彼女の滞在中に、これとは別に仕事を見つけられるようにする、ということだけだった。イェンツェフはツアー以前に彼女と会ったことが無く、彼女の振る舞いを見て、思っていた人物像と全然合致しないことに気が付いた。私に言わせると、メリッサが3週間のチェコ滞在中に、他の仕事をもらえなかったのは自業自得だ。バイヤル&ラムジーの責任ではない。ツアーの報酬は誰にも出ていなかったし、何とか出費がカバーできただけなのだ。もし、彼女が大金を稼いで帰れると期待していたなら、最初から連れては行かなかっただろう。彼女のチェコ滞在中、私は彼女にポケットマネーから700ユーロ出してやり、イェンツェフとミランが、彼女の必要とする物全てを用立てた。彼女に使った金を考えれば、講演を撮るのに地元の映像制作者を雇った方が、よっぽど安く済んだはずだし、何より完成した記録映像を、すぐにでも手に入れることができたはずだ。
 私は今までの人生で、独創性に欠ける数多の言い訳や、数え切れない程のペテン師に遭遇してきたが、彼女は群を抜いている。チェコの人達にこの薬が一体どんなものか、理解してもらう助けとなるはずの記録映像を、彼女は隠匿しているのだ。彼女は本来送るべきフィルムの上にどっかり腰を下ろして、金が転がり込んでくるのを待つ、という選択をしたようだ。私は彼女に連絡し直し、嫌悪感を声に出して、二度とその声を聴きたくないと伝えた。これ程自己中心的で人間が小さいというのは、寧ろ驚嘆に値するだろう。それでも、彼女の言動はそこまで異常ではない。私は今まで歪んだ計画や指針を持つ人間達に、数多く出くわして来たし、彼らが彼女よりましだとは、到底言えないのだから。
 だが、少なくとも他の部分では、随分良い感じになって来ていた。この頃は非常に建設的なメールが、絶えまなく押し寄せて来ており、我々の情報のお蔭で、自分達の癌や深刻な病気の治療が成功したと、多くの人々から報告を受けていた。会ったことも無い人達からこんなことを言われるのは、なんだか素敵な心持だ。このようなEメールは腹の足しにも、金にもなりはしないが、様々な場所でこんなに大勢の人々が助けられているという事実で、私は士気凛然、勇気百倍となるのだった。これは最早ノバスコシアの片田舎だけのことではない。このオイルの薬用価値に関する議論は、今や世界規模の関心事となったのである。
 当然のことながら、この〝悪名高い〟オイルに関して、様々な問題が立ち上がってきた。治療を必要としている患者に、オイルを製造して販売しようとする人々が各所に現れた。勿論この人達が全員、オイルに対して誠実で、患者のことを気にかけているなら、全ては問題無いし好ましいことだ。だが、これとそぐわない現実が多過ぎる。現在オイルを提供している人間達の多くは、過去にドラッグディーラーだったという経緯があり、彼らの関心は出来るだけ多くの金を稼ぐということだけなのだ。多くの患者が正しい原材料を見つけることに問題を抱えるか、自分達では薬を精製できないから、地元の供給者の所に行く。オイルがどのように製造されるか何も知らず大麻について初心な人間に、オイルを売りつけるのは赤子の手を捻るようなものだ。疑いを知らない患者に、低品質なオイルで嵩増しして、大きな利益を得ようとする供給者がいるのは間違いない。首を賭けてもいい。
 私はオイル製造に関わる人間が、全てこうなのだと言っているわけではない。大多数の供給者は、本物の高品質な薬用オイルを提供しており、彼らは患者の健康を気にかけている。だが、悲しいことに、そうでない者もいるのだ。私が受け取る訴えから判断するに、多くの患者が単純にカモにされているのは確かだ。さらに忌むべきことに、生き残る確率を減少させる粗悪品を売りつけられたがために、命を落とした者さえいるのだ。状況を更に最悪にしたいのか、今や猫も杓子も私の名前や「フェニックスティアーズ」という語句を使用して、売上を伸ばそうとしている。彼らの説明の中には有り得ないようなものもあり、人々を欺く為に多くの人間が、自らを貶めていることが見て取れる。彼らの中には私が製造に直接関わり、私と緊密に連携していると吹聴する者までいるのだ。これを聞いた購入者は、自分の買ったオイルに確信を深めるだろう、しかし、私には頭痛の種が送られてくることになる。
 私のオイルを手に入れたが、全然効かないし、ウェブサイトに説明されているような効果が無い、という患者からのメールをしょっちゅう受け取る。そこで私は、その人達が私のオイルを買っていないこと、恐らく金を騙し盗られたのだということを彼らに知らせる、嬉しくない仕事をしなければならなくなる。いくつかのケースでは、患者が数千ドルの金を借りていたり、貯金をはたいたりしていて、その金を失う余裕など無いこともある。こういうことが起こると、なんだか私にも、責任の一端があるような気がしてしまうが、実際の所、これらの供給者とは何の関わりも無いし、彼らからびた一文たりとも受け取っていない。そこで我々は「フェニックスティアーズ」という用語を他人が使えない様に、商標権を設定した。これで法的には誰もこの用語を使えなくなったのだが、実質あまり効果は無いようだった。彼らは雨後の竹の子で、その全てにストップをかけることは不可能なのだ。この状況について、我々はウェブサイトで人々に周知し、警告してきた。結局今の所、本物を欲するのであれば、自らの手で作るのが最短の近道だ。品質管理や標準品質が設定不能な今、人々は自分達の買う物がどんなものか、知る由も無いのだ。
 供給者を探して私に連絡する人達に対し、誰かを紹介することは不可能だと、説明しなければならないことが多々ある。これをするには、供給者に直接会い、彼らが供給しているものがどんなものか確かめる必要がある。人々の病気を治した罪で犯罪歴が付いた私は、アメリカに入国することすらできないし、旅行にはいつも資金の問題が付いて回る。だから、他の国で供給者達が製造しているオイルの品質について、私は何も知り得る立場にない。加えて、オイルを製造する者達はよく独自の手法を使い、我々の手順に従わない。だから私には、彼らが何を作っているのか、正確な所は全く分らない。
 現在、研究者達がしている発表の中には、世間を誤解させるものがあると思われる。その発表は大麻が含む向精神作用のないCBDという物質に関するもので、オイルの素となる品種によって、その含有量はかなり異なる。彼らは、この物質を高濃度で含むオイルが、癌の治療に有効かもしれない、と語っている。この研究は、患者がオイルに慣れてしまうまで経験する多幸感・陶酔感を取り去ってしまおう、という狙いから発しているようだ。彼らが話していることは、未だ証明の途上であるが、もし私が体内に癌を患ったら、そのようなオイルを摂ろうとも思わないだろう。私の知見では、それ自体に薬用的価値があると信じられる「ハイ」をもたらさないオイルは、深刻な病気に罹っている患者には、多分あまり功を奏さない。
 私はこの研究に価値が無いと言っているわけではない。だが、業者というのは、売り上げを伸ばす為に色々な言葉を弄するものなのだ。私の考えでは、高濃度のCBD含有オイルは深刻な体内の癌の患者で試されるべきではない。その代わり、皮膚癌のような病気で、まずその治癒能力を見極め、効能がハッキリしてから、体内の癌に使われるべきである。私が精製したオイルはその効果が証明済みだし、同じ効能を持たないオイルをあえて摂るという、命のギャンブルを患者はすべきでない。物事を複雑化するのが人間の習い性だが、ここはシンプルに行った方が良い。その方が人々も理解し易かろう。今はこれが効くのだから、これを使えばいい、この植物にある他の治癒能力について、誰かが言っていることが真実だと証明されるまで、わざわざ「角を矯めて牛を殺す」必要など無いのだから。
 どのようなオイルを摂るかは、その効果に対する患者の好みに委ねられるべきだと思う。我々の誰一人として、全く同じ身体反応を持つ者はいない。私が好む効果をもつオイルを好まない人もいるだろう。患者は様々な種類から作られた薬用オイルを、試すことができるようになるべきだ。そうすれば、患者は自分のニーズにピッタリの物を選ぶことができる。もしこれが適切になされたならば、最早医師さえも必要なくなるかもしれない。結局、患者自身にしか、何を摂るのが自分にとって快適か分らないのだ。単純に、医者にはこの知識がないのだから、どのようなタイプのオイルをどれくらいの頻度で使用するか、患者に任せてしまえばいいのだ。自分達の病気に必要な薬用価値をオイルが有している限り、患者こそが自分の治療を取り仕切る資格がある。
 オイルを最も効果的に使うために、私が発展させた手順、これに患者が従ってくれれば、何も言うことは無い。だが、この物質に対し、低い許容量の人間は、もっとゆっくりしたペースで摂取する必要があるだろう。これからオイルを摂ろうしている患者にいつも言うことは「オイルは体の中にないとその効果を発揮しない」ということだ。だが、どれ位の早さで体に入れるかは患者次第だ。命を脅かすような医学的問題を持つ人には、病状を安定させるため、可能な限り早くオイルを摂った方が良い、としか言いようがない。とはいえ私は、医療機関からもう長くないと言われた人間が、かなりゆっくりこの薬を摂ったにも拘わらず、良い結果を得られたケースに何度か出くわしたことがある。まあ、自分が末期癌を患っていて、闘病の為にこのオイルの様な、無害で効果的な治療法があったとしたら、矢も盾もたまらず飛びつくだろう。対処は早い方が、生存確率を高くすると知っているのだから。近い将来、世間はこの薬の使用が、どんなに安全か気付くだろうし、そうなった時は、さらに多くの人々が、関心を寄せるようになるだろう。
 ヘンプオイル問題を世に問い始めた時、ほとんどの人がこの自然薬の製造を、本来与えられるべき基本的人権と看做すだろうと、私は考えていた。私が示したこの世界のあるべき姿こそ、この薬を必要としている全ての人に、最も安価に、最も早く供給を可能にする唯一の論理的帰結だと、現在大勢の人が感じるに至っている。信じられないことに、製薬会社はまだ分け前に預かる資格があると思っているようで、大規模に大麻製剤を販売する準備をしている。これらの会社を支配している人間達は既に政府も掌握しているので、大きな反対に会うことはないだろう。全てはこれらの会社の利益率のために行われているのであり、その法外な金を支払わされるのは、我々自身なのだ。加えて、政府は一般の人達が自分達で栽培し、製造することを禁止し続けようとするだろう。この発見を公にしたのは私だ。そして製薬会社がこの薬を販売することは、私の意思と相容れない。私はこれらの企業に莫大な利益を産み出すために、活動を続けてきたわけではない。私は常に、我々皆に素晴らしい利益がもたらされることをゴールと見定めてやってきた。大麻草の栽培と医薬的使用の完全なる自由。これこそ我々が得るべきものであり、最終的に獲得できると私が信じるものである。
 不幸なことに、この活動にしゃしゃり出てきているのは製薬会社だけではない。私が提供した情報で一儲けできると考えている者達が大勢出て来ている。私はかなりの数の個人と団体から連絡を受けた。彼らは自分達の商品を売るために私の協賛を得たいのだ。その中のいくつかの会社は、一緒に働くことの報酬として、気前の良い申し出をしてきた。だが、彼らの計画は、私にとってどうでもよかったし、彼らは利益を得る事しか頭に無いようだったから、私は丁重にお断りして、我が道を行くことに決めた。
 私は確かにノバスコシアの田舎者かもしれないが、目端は利くほうだ。もし、これらの業者が私を仲間に引き込むことに成功し、商品の販促のために私の名前を使用したならば、私は昨今有名になって来ているから、売り上げが急増することは間違い無いだろう。だが、彼らが製造しようとしている商品の品質や価格はどうなのだ。何年もかけて、やっと世間が多くの信頼を私の名前に寄せてくれるようになったのだ。私の名前を現金化しようとするような怪しい業者に、この信頼を裏切るような真似は絶対許さない。
 私は他の人達がこの薬を販売することに何の不満も無いし、彼らが良質のオイルを製造しさえすれば、それは勝手に評判を得て、私が関わる必要は無いはずだ。我々は手順を公開しているのだから、現在リックシンプソンオイル、または単純にRSOと呼ばれるこのオイルを、誰でも製造できる。だが、私の名前が付いているにしても、他の製造者が作った薬や商品の品質管理に、私が何か影響を及ぼしているわけではない。私は確かにリック・シンプソン本人ではあるが、この分野のどんな業者とも直接の関わり合いは無いし、大勢が自分達の方法でオイルを作り、ただそれをRSOと呼んでいるだけなのだ。私はこの素晴らしい治療薬を、人類に与えられた至上の贈り物だと看做しているが、他の大多数は、自分達の銀行口座を太らせるための最高の方法だと見ているようだ。
 我々の慣れ親しんだ企業社会が、大勢の人間に間違った考え方を植え付けてきた。人々は、医学的問題を抱える人達から巨大な利益を得る、という下衆な考えから頭を切り替えるべきだろう。この様な考え方が、現在我々が置かれた状況を作り出したのだ。医療に対する、もう少し現実的なアプローチをする時が、そろそろ来ているのではないかと思う。人類が進歩を望むのであれば、一般の人々に、彼らの選択に応じて、この薬を自分で作る権利を与えるか、需要を満たすために、他から安価に供給を受けられるようにすべきである。製造費の数百倍、時には数千倍の利益を、売薬から得るという時代は終わるのだ。それでも、製薬会社は自分達の薬用大麻製品を売ろうとし、政府にコネを持つ者達は規制を免れるだろう。そして、薬を必要とする我々の大多数が、製薬会社が法外な値段をつけるオイルの費用を、賄えないということになる。
 最終的に私が人々に期待するのは、大麻の医薬的使用に対する不条理な法律と、その様な法律を施行し続けようとする政府を、単純に無視することだ。自分達で育てられる物に大金を払う人間などいないのだし、合理的に考えて、そうする義務もない。供給者が要求する金額のせいで、ほとんどの人がこの薬を入手できないのだとしたら、唯一の選択肢は自分達で育てることだ。近い将来、ほぼ全ての人が、オイルを使うことになるだろう。そしてこの物質に対する需要は計り知れないものとなる。この状況を解決する唯一の合理的方法は、全ての人に自分達で必要を満たす権利を与えることだ。もし政府が反対の事を行おうとするならば、彼らは地球を丸ごと刑務所にしなければならなくなるだろう。そして現実的に考えて、政府がその任務を達成する遥か前に、市民は自分達の政府が倒されるのを見ることになる。大麻治療薬の使用禁止を継続したい政府、その他の人間達は、勝ち目の無い戦をしているのだ。そして最終的に彼らは、自らを逃れる事の叶わぬ、のっぴきならない事態へと陥れることになるだろう。
 もしこれが実現し、私に時間と自由があったなら、その時は大麻の交配事業を始めたい。私は訪れた様々な国で、多数の大麻品種のサンプルをとってきた。これらの多くは既にかなり有名だが、私がカナダで育てていたような品種の幾つかに、その強さで匹敵する物はなかった。だが誤解しないでもらいたい。私は世間に、私が世界一の大麻栽培者だと認めさせるために、こう言っているのではないし、種会社が優良な薬用品種を販売してこなかった、と言うつもりも無い。ただ、私がオイルを製造するために完成させた品種が、余りにも強力だったから、こんなことを言っているのだ。
 いくつかの品種は相当に強力なため、試しにジョイントを巻いて吸ったら、二回も吹かさないうちにベッドへ直行、ということもあった。バッツを少量喫煙したときの効果でさえこうだから、この様な品種が濃縮オイルにされたとき、どれほどの鎮静効果を持つかは、想像にお任せしよう。加えて、私が供給してきたオイルは、強烈な多幸感をもたらすもが多く、大概の患者が自分達の治療にとって、それを望ましい効果だと考えていた。当然のことながらこの組み合わせは、私が治療薬を作るために探し求めていたものであり、他の栽培者から購入する時も、この様な品質を求めていた。
 確かに、種子会社は素晴らしい薬用効果を持つ品種を販売している。だが、個人の栽培家が、より強力な品種の交配に成功することも多々あると、私は考えている。もしそのような種を所有している人がいたら、幾らか私に融通して欲しいものだ。そうすれば、弱い品種で作業することに時間を費やさなくて済む。長年、私はこれらの大麻品種を交配させ品種改良し、その薬用特性を自分自身や患者の、様々な病気で試してみたいと思って来た。今日、医療大麻使用者が抱える大きな問題の一つは、種子を注文した時に、本当に頼んだものが来るのか、確証が持てないことだ。私が提案していることが実現すれば、患者は自分達が何を手に入れているか知ることができるし、それらの品種の特性が安定すれば、自分達で医薬目的の大麻を栽培したいと望む者に、それらの種を供給できるようになる。
 私は大きな利益を上げる事業計画で、一山当てることを提案しているわけではない、種は可能な限り安く提供されるべきであるからだ。もし読者やその知り合いでこれを援助してくれる人がいたら大歓迎だ。現在、私は国から国へ旅する流浪の身であるが、近い将来、この品種改良計画に着手するだろう。だから、もしあなたがこの計画に必要な種を提供し、協力するつもりがあるのなら、種と、その品種についてあなたが調べた特徴を簡単に纏め、私の息子に送って欲しい。宛先は:Mike Simpson, 344 Little Forks Rd., GD, Springhill, Nova Scotia, Canada BOM1XOだ。どうか低品質の種を、ジョークになると思って送らないで欲しい。私は真剣にこれに取り組もうと思っているし、ナンセンスに付き合っている暇はない。
 ジャック・ヘラーが最初にこの薬と私の名前を結び付け、リックシンプソンオイルと呼び始めた。するとすぐに、ほぼ全ての人がオイルをRSOと呼ぶようになった。私の名前がついたことで、多くの人がこのオイルに何か特別なものがあるのだと思い始めた。深刻な病気を治療しようとする時、唯一最良な方法は、RSOだと認識され始めたのだ。私の名前が関わることに否定的側面が無いとは言えないし、今日に至っても、私の所にはこの薬を供給してくれという要望が届く。これは私が置かれた今の状況では、完全に不可能なのだが。この惑星の至る所で、この薬の使用に対する不条理な法律が施行されている現在の状況で、どうして私がオイルを供給できようか。私が外国でそんなことをしようものなら、すぐに逮捕され追放されるだろう。私の役目は単純に人々に対し、どのようにして自分自身を助けるかを語ることであり、どこかの政府が私にそれを許さない限り、今以上の援助を行う立場にはない。
 私はこれらの法律を作った人間ではないし、カナダにいる時分、それらが意味をなさないと良く知っていたから、あまり注意を払っていなかった。この薬の製造に関して、私は熟達してはいる。しかし、外国でそれを行うことは、トラブル以外何も私にもたらさないだろう。現在この薬を供給する立場にないにしても、私がしていることは、この活動にとって重要性があるものと自負しているし、ほとんどの人は、私が自由でいた方がいい、と感じているはずだ。私は自分達の権利の為、戦うことに吝かでないが、できるだけ多くの人が、この問題について後押ししてくれる必要がある。
 そろそろ人々は自分達自身の健康と幸福に対し、もうすこし能動的になってもいいのではないか。なぜ、人々は政治家や医者の所に行って、何かする様に要請しないのだろう。自分達の給料を払っている人間達を、そこまで恐れているのだろうか。なぜ世間はこれが続くのを許しているのだ。権力の座にある者達の行動は、自分達のコントロールを超えていると感じているのだろうか。そうだとしたら、人々は本来、誰が誰の為に働くべきなのか認識するべきだ。我々は公僕達を公衆の利益のために雇っているのであり、それが彼らの絶対的義務であるはずだ。だがここまで、それは起こってこなかったし、その実現は、我々が自分達の権利を要求するかどうかにかかっている。
 ただし、人々と働こうとすると思わぬ落とし穴があることも確かだ。あなたが何をしようと、役に立つ助言を聞き入れない者もいる。このような頭脳構造の人間は、自分達が置かれている状況を把握する時間を作りさえすれば、治るか安定させられたはずの病気で、死んでしまうことがままある。病気に苦しむ他人を助けようとした多くのオイル供給者が連絡を寄越し、患者達の中には、がっかりする言動をする者がいると愚痴っていた。しかし不幸なことに、患者が道理を弁えず、自分達を教育することを拒んだら、その後我々にできることは少ない。これこそ過去に私が、化学療法や放射線療法を受けている者、または受けようと予定している者に、オイルを提供するのを拒否した理由である。
 医療システムが自分達に何をしようとしているのか、理解する時間すら作らない、自己破壊的考え方の人間を助けるために、こちらが死にもの狂いになる必要など果たしてあるのか?確かに化学療法や放射線治療を受けている患者に、オイルが生存のチャンスを与えることに疑問の余地は無い。だがそのような〝治療〟を自ら進んで受けようとする人間を、助けることに意味はあるのか。彼らがしている事は生存確率を大幅に減少させていると分っているのに。このような危険な治療を受ける人間にオイルを与えることは、自殺しようとしている人間にオイルを与えるのと変わりない。自分の治療に決定を下すのに十分な大人が、癌を治療するのに合理的治療薬を用いたいのであれば、私はそこに行く。だがもし、この道理を受け入れたくないなら、医療システムと進めばいいのだ。私の考え方を残酷だと思う人もいるだろう。だが、オイルは非常に希少なものであり、一滴たりとも無駄にされるべきでない、と私は考えている。そして同じ立場に居たら、皆がそうするだろう。
 分別が有る筈の人間と違い、動物達には言い訳の余地がある。彼らは我々の言語をよく解さないし、物事を十分に理解することは期待できない。だがこう言っては何だが、動物達の方が協力的で、その関わりが喜ばしいことも多い。私の所には、癌をはじめとする様々な病気のペットを治療したというEメールが頻繁に来る。結果は仰天するようなものばかりで、不治の末期癌と考えられていたような犬が、数日で治ってしまったというのはしょっちゅうだ。
 動物がそこまで重要でない人もいるだろうが、自分達のペットに深く愛情を注いだ人間にとって、その死は、その人の人生に破壊的効果をもたらすものだ。実際、そのような動物の死は、家族全体に長く続く悲しみをもたらすことが多い。言うまでもないが、今我々は自分達のペットを治療するために、天然由来で害の無い、効果的な治療薬を手にしたのだ。獣医達は人間の医者と同様、金銭的理由からこのオイルの使用に反対するだろう。だが彼らの欲求と需要には、我々が愛し育んできた動物を、自分達で治療するという権利を凌駕する程の価値が、果たしてあるものなのだろうか。
 私が見てきた限り、病気の動物達もその主人と同様、あまり良好に治療されてきたとは言い難い。大抵の場合、彼らは人間に使われてきたのと同様の、毒物や化学物質を与えられている。もし私にペットがいて、病気になったとしたら、自分が何をすべきか知っているし、自分達のペットの幸福を望む人々に、同じことをする常識が形成される事を望んでいる。誰であろうと、我々に自分達のペットや家畜を治療してはならない、と言う権利は無いはずだ。特に我々が、彼らにとって最良の物を知っている時に。これこそ我々が一致団結してこの規制を終わらせるべきもう一つの理由である。
 2010年と2011年には、毎日のように情報がインターネットに溢れはじめた。ショナ・バンダ、デニス・ヒル、デイビッド・トリプレット、他にも大勢が、とても説得力のあるビデオをYouTubeに投稿し、オイルが彼らに何をしてくれたか克明に説明している。情報を拡散するため、他にも興味深い映像がさまざまな人達によって投稿されている。彼らはVitamin Cannabis ビタミンカナビスやCancer Gate キャンサーゲートといったハンドルネームを名乗っている。私は本当に楽しくこれらの動画を見させてもらったが、中でもCaptain Cannabis キャプテンカナビスは抜群な仕事をしていると思う。世間に対し自らを公表し、この薬を使用した経験を語る強い意志を有した人達によって、これらの医学的証拠がこんなにも急速に積み上がって行くのを見ているのは、素晴らしい限りだ。2011年インターネットではこの話題に関係する情報が爆発した。我々は遂に勝利を収めつつあるのだ。間も無く、この植物の薬用価値は世界的に知られる事となるだろうし、それが一度起こってしまえば、大麻の医薬的使用は瞬く間に広まるに違いない。
 今までこの全てを、自分一人で戦って来たと、私が思っているという印象を与えたくないし、現にこの治療薬の使用を支持する発言をしてくれた専門家達も存在する。ラファエル・メコーラム、ルミール・ハヌス、ロバート・メラミードといった大麻研究の大御所達の言葉は、私にとって何物にも代えがたいものだ。私はボブ・メラミードとこの薬の使用について広範囲に討論したし、彼がYouTubeにあげている動画も非常に面白い。ボブは非常にうまい表現を使ってこのテーマを説明しているが、如何せん、彼が関係しているカナビスサイエンスという会社は、私が思い描くこの薬の配給の仕方よりも、より企業的なアプローチをとっている。私はカナビスサイエンスと何の関わりも無いし、彼らがそうしたいのであればそうすればいい。私は彼らとは異なり、全ての人々が自分の薬を自分で作る権利を得るのが見たいのだ。どうやら我々は異なるゴールを思い描いているようだ。私は単に金を稼ぐための組織に組み込まれるつもりはないし、この件に関し企業的な〝匂い〟のするものも同様だ。そもそも最初にこの窮地に我々を追い込んだのは何だったか。もし私が一緒に働けると思う団体が見つかったら、我々のウェブサイトで公表されるだろう。そして世間は私がこれらの人達と繋がりがあると知る。だが、このようなことはまだなさそうだ。
 我々全てにとって幸運なことに、勧善懲悪のために多くの人が貴重な役割を果たしている。この活動に価値ある貢献をするためには、科学者でなければならない、ということはないのだ。ジャネット・スウィーニーはフェニックスティアーズ財団を一緒に創設してくれた。現在はコロラドに本拠を置いている。現時点でこの財団は、生まれたばかりではあるが、近い将来彼らはもっと多くの支援を得ることになるだろう。加えて、ジャネットは医学的問題を抱える大勢の人々を助けることに成功し、この活動の素晴らしい大使となってくれている。私はこの財団に直接関わっているわけではないが、我々は頻繁に連絡を取り合っており、彼女は可能な限り私を助けようと尽力してくれている。ジャネットは本当に素晴らしい人間であり、彼女の様な倫理観を持った人間が、フェニックスティアーズ財団の舵取りをしてくれるのは嬉しい限りだ。
 私がしている事を広めようと、少しでも協力してくれた人は莫大な数に上る。私が受けたインターネットやラジオの数多くのインタビューと、私に関して書かれた記事が出版されたことで、世間のこの件に対する意識のレベルは俄然高いものとなった。ポーラ・グロリアが司会を務める「Down the Rabbit Hole(兎の巣穴に落っこちて)」のような番組が、アメリカ合衆国の東北部やその他の地域で我々の情報を広げるのにかなり役立ってくれた。マックス・イーガンやデイビッド・アイク、ジェームズ・マルティネス、ヴィニー・イーストウッッド他大勢のインターネットやラジオのパーソナリティーが自分達のウェブサイトや番組放送でこの薬の使用に対しての関心を喚起してくれた。彼らの発信した情報はこの活動にとって、何物にも代え難い価値のあるものであり、彼らが果たした役割は、非常に勇気のいることだと称賛を禁じ得ない。
 これらの人々が詳説してくれたことの重要性を把握すれば、民衆は自分達の健康問題をどのように扱うか、より多くの情報を元に判断を下すことができるだろう。これらの人がした仕事により、多くの命が救われ、医者に匙を投げられた病気の人々が大勢助けられた。同様に、この件に関する彼らの話を聞くことにより得られる知識は、物事を変えるために早急に何かがなされなければ、我々の世界は大きな危機に直面するだろう、という事を納得させるものである。そして我々は医者達が命じることに従う前に、それを再考するべきだということも。
 あなたが常識を適用する時、今まで医者達や医療機関が提供してきたものが、薬ではないことを知るだろう。もし、10歳の子供に放射線や化学物質、毒物が身体に良い物かと尋ねたら「ノー!」と答えるだろう。今度は自分の医者に同じ質問をする、すると彼らは通常これらの危険な物質とその治療について、治療を効果的に進めるためには必要だと答えるだろう。もし、子供の方が医者より常識があり、医学的知識を持っているのだとしたら、我々の医療システムはもう少し努力した方が良いということに、誰もが賛成するに違いない。命を救い、苦痛を和らげることが医学の務めだとしたら、彼らは自分達の道が間違っていると今すぐ気付くべきだ。未だに大部分で実際彼らは改心していないが、我々の友である大麻草と、世間の強い抗議によって、医者達もそうせざるを得なくなるはずだ。
 何十年もの間、医師や研究者達はその研究施設の中で、実験動物の腫瘍にカナビノイドを注入してきた。結果はこれが癌の治療において非常に効果的な方法だと示しているが、人間に同じことをするのを拒み続けている。医療システムは命を救う為にあるはずだし、癌で死にかけている患者に何をか失うものがあるだろう。私にとって、これが行われてこなかったことに合理的釈明など無く、それはただ、我々の医療システムが、どうしようもないものになり果てたことを暴き立てているのだと思う。数えきれない程の病気で有用だと証明されている物質を使って、誰かの命を救うことに、医師或いは(我々一般人でさえ大勢の人が犯罪組織だと考える)FDAのような団体の認可が、実際必要なのだろうか。私は本当に要らないと思っている。
 医師は治療法が危険で非効果的でも、自分達の専門分野の体制に従わなければならないのだと我々はよく言われる。このような発言は完全に阿呆臭い。私の個人的経験では、システムに一人で立ち向かうのは大変困難だが、数には力がある。医者達の最優先事項は患者の健康と、ヒポクラテスの誓いに従う事でなければならない。そうであるならば、なぜ医者達は一致団結して、明らかに害のある薬剤や治療の使用にストップを掛けようとしないのか。患者に大麻の処方箋を書く医者でさえ、私にとっては全力を出し切っているように見えない。彼らが全力を尽くせば、団結して現在彼らの専門分野にいる人間達が本当は何をしているのか、曝露することができるはずだ。彼らがすべきは自分達のヒポクラテスの誓いに従い、これ以上自分達の患者に害を与えないことだけである。これが今まで起こらなかったのは、偏に純粋な強欲と、装っているかまたは本当の無知、それと怯懦である。我々の命を預かっている医学の専門家達に、患者に対し正しいことをせよと要求するのは、図々しい事だろうか。もしそうなら我々は、現実には医療システム自体を有していないことになるだろう。
 私は過去に幾度も、人々にジャック・ヘラー著『裸の王様』を読むように言ってきた。2011年初頭、遂に私は第12版を読む機会を得た。そこには私とこの薬に関する情報が載っているはずだった。本を開く前から、そこに何か大きな間違いがあることが分かった。最新版は第11版に比べかなりページが少なかったし、本の持ち主が去る前に、隅々まで目は通せなかったにしろ、私にはジャックの本が劇的に変えられてしまったような印象を受けた。ジャックが生きていたら、決して喜ばなかったはずだ。本はバッサリとページ数を落としただけでなく、ジャックを知る人間から聞いたところでは、ジャックが絶対掲載を許さなかった記事が入っているということだった。その上、私が第12版のためにジャックに送った情報は全て抜け落ちていた。
 私が書いた物が無視されたことは、そこまで私を苛立たせなかったが、新しい編集者のジャックの原稿に対する不遜な態度は許せなかった。将来的に、私が金銭とチャンスに恵まれたならば、ジャックの本の権利を買って、彼のオリジナルの原稿で本を出版し直したいと思っている。そこにはジャックが私に要請した、新たな章が加わることになるだろう。これが友であり師であったジャックが望んだことであり、彼の望みは成就させられなければならない。
 今までオイルを提供してきて、私は我々の全てが、同じ思考レベルではないという認識に至った。だいたい平均して私が関わった一割程度の人間は、私の言っていることがとても簡単に理解できる。四割前後は時間をかけて徹底的に説明すれば、私の言わんとしている事が分かる。残りの五割は、私がどんなアプローチをしようとも理解能力に欠け、関心を示さない。
 多くの人にとって、私が話していることが真実だと理解することは、一桁の足し算程の造作も無いことなのだが、システムのプログラムを受けてきた他の人々にとっては、鮮明に考えることが難しいらしい。私はそのような状態に囚われた人達に本当に同情する。もし自分が合理的に考える能力を欠いていたとしたら、自分の人生に対し、可能性を大して感じられないだろう。もし、この治療薬が簡単に製造でき、安全で簡単に使えるものだと知っていたら、これ程の重要性を持つ物を無視することは、理解の範疇を超えていると思う。不幸なことに、これは我々が種として、さらに学ばなければならないことを示唆している。現実では、その人がどのように育てられたか、ということが問題であり、要は環境と教育なのだ。これらが何を真実と考えるかという、我々の知覚を決定している。間違った情報を与えられ、適切に教育されなかったなら、出鱈目を吹き込まれ、間違った方に導かれても、我々の多くは拒絶できないだろう。
 自分自身の健康に関しても、あまりにも頻繁に、我々は自分達に対する決定を他人に委ねている。そして我々は自ら進んで、処方された化学物質や毒物による、危険な治療を受けるのだ。それらが助けになるかもしれないと考えて。悲しいかな、多くの事例でそれは助けなどではなく、この〝治療〟と〝薬〟は往々にして我々の身体に非常に悪い効果を及ぼすのだ。人間の身体は大部分が水で出来ている。我々が自分達の成分である水を、化学物質や毒物で汚染させるのを許したら、どうして健康の維持など望めようか。私は電力技師を生業としてきたが、化学物質や不適当な酸と塩基のバランスが、パイプや機械に有害な作用を及ぼすことをよく知っている。これは我々の身体の酸塩基平衡や、毒性の化学物質を飲むことにも同様に当てはまる。我々の健康と幸福に対して、その重要性に言い過ぎはない。魚を見てみると良い、彼らが住む水が汚染され、彼らに必須な酸とアルカリのバランスが適正域を超えた時どうなるか。我々も大して変りないのだ。pHバランスの崩れた土や栽培資材は、植物の育成に非常に悪い影響を与える。植物も人間も全て、適切に自然治癒を行い、活力漲る健康な状態を維持する為には、適切なpHバランスを必要としているのだ。ここで全ての人に言えることは、何が自分達の害になっているか特定し、それ以上のダメージを避けるために全力を尽くしたほうがいい、ということだ。我々皆にとって不幸なことに、現在我々が暮らす世界には、健康を脅かす危険が至る所に潜んでおり、そのうちの幾つかは、非常に巧妙に偽装されている。
 医者達が寄越す錠剤は、本当に飲んでも無害なのだろうか?彼らが処方する治療の安全性はどうなのだろう?保存料や殺虫剤、抗菌剤、成長ホルモン等は食べても安全なのか?もし、ちゃんと時間を作り、自分自身でそれを調べたら、結果はかなりガッカリするものであること請け合いだ。我々が大麻草の抽出物で自分達の身体を解毒しないなら、程無くこれらの恐ろしい物質は、我々の全体的な健康に甚大な被害を及ぼすことになるだろう。今まで大麻に関わってやってきたことが、私をジャック・ヘラーの言葉に完全同意させている。「大麻が世界を救うかどうかはわからない。だが、それができるのは大麻だけなのは確かだ。」今日、我々の健康問題と、我々の住む世界が直面している多面的問題を解決する糸口となる力を有しているのは、大麻以外には有り得ない。
 ヨーロッパに二年程居て、この問題に対する政府の対応を見ていると、彼らが全然進歩していないと分かる。私の印象では、未来においてこの薬用植物の波が来ることを彼らは自覚しているようだが、旧態依然としたやり方に、どのような変化ももたらす気は無いようだ。不幸なことに、彼らは規制を通じて、大麻の医薬的使用の統制を継続するつもりで、その製造が製薬会社の手に委ねられることを望んでいる。我々の隷属を継続しようと、政府や富裕層によって作られたこの計画は、狂気としか言いようがない。この植物の使用を禁止しておくという彼らの計画が、決して結実しないことを、全ての人の為に祈るばかりだ。
 これらの巨大製薬企業を支配している人間達は、何十年も前に、富を使って自分達の行動指針に政府関係者達を引きこんだ同じ家族から出ている。今や政治家達はこの選挙されていない経済支配者の代弁者でしかなく、経済支配者こそ現実の舞台を演出しているのだ。どのような角度で見ようとも、このような社会状況では、民衆は自分達を代表する者を持ってなどいないのだ。これまでこれらの製薬会社は数多の害をもたらし、自然薬を人々から遠ざけてきた。このような会社に、この大麻製剤を作る権利を許すとしたら、我々はよっぽどお人好しだと言わねばなるまい。
 自分達の代表として、権力の座にある者達が法律を制定したり、決定を下したりすると、世間は彼らに究極的な権威が存在すると勘違いするようだ。これは特にその組織が大仰な名前を有している時に顕著である。例えば外交問題評議会や国際連合のような。このような大仰な名前は、その組織を本当は誰がコントロールしているか考えれば、全くどうでもいいものなのだ。これらの組織は、人類の窮状を救うために作られたものではない、という証拠が五万とある。これらの組織が結成されたのは、経済支配者の御用聞きをするためなのだ。悲しいことに、政府の協力の下、我々民衆は彼らの政策と、今まで行われてきた欺瞞の犠牲となってきた。そして、この大衆操作を終了させない限り、我々人類に望みはない。
 我々の命の道行を真っ当なものにするためには、我々皆に染み付いているシステムへの畏怖を打ち消さなければならない。政府と大富豪達の政策は何も問題を解決してこなかったばかりか、実際には何億、否、何十億の命を犠牲にしてきたのだ。彼らは我々の社会を崩壊させ、既に強大過ぎる力を持つ家族と人間達を、更に金持ちにすることにしか貢献してこなかった。このような人々は民衆の利益の為に何もしてこなかったし、する気も無い。我々に残された希望は他の道を探すことだ。
 今までは、金持ちエリートに支配された巨大企業が、この星の最良の人材を吸い上げてきた。超富裕層が民衆を支配下に置き、彼らの夢である世界統治を実現するため、その人材の知性が我々に対して用いられてきたのだ。この様な事が長い間続いて来ており、未だそれが正される為に何も行われていない。我々は腐敗の無い、民衆の利益を体現する組織を結成する必要がある。これが達成されれば、人類に有益な技能をもつ人間達に、働く為に必要な全ての物が揃えられるだろう。結局の所、そのような才能は、金持ち達が彼らの壮大な夢を実現するために買われるのではなく、世界のより大いなる善のために使われるべきなのだ。
 我々の世界をより良いものにしてくれる、様々な新しい分野には、煌めくばかりの人材がいる。我々はただ、正しい道に行くよう彼らのやる気を引き出し、我々が現在直面している問題の解決のため、彼らの才能を生かすだけでいいのだ。彼らの才能を搾取型の経済支配者が人々に対して使う代わりに、人々を代表する組織が彼らを雇い、報酬を与えればいい。もし子孫にましな世界を残したいのなら、押っ取り刀で、すぐ仕事に取り掛からなければならない。我々こそが、自分達の未来の行く末を本当に決められるのであり、これ以上自分達の意思が否定されるのを許してはならないのだ。